妊娠や出産による身体各部の変化には様々なものがあります。

症状には個人差があり、出産前のつわりや股関節の痛み、出産後の腰の痛みなどをほとんど感じることなくすごされる方もいれば、まったくその逆の方もいます。

当院には出産を控えた妊婦さんや産後数カ月の方など、皆さん何かしらの症状をお持ちの方が来院されます。

<妊娠や出産で体はどうなるの?>

(妊娠すると・・・)

一般に妊娠して安定期に入る頃、つわりなどは徐々におさまり、ようやく活動的に動けるようになると言われています。

それでもお腹の赤ちゃんの成長と共にお腹が前方にせり出し、背中や腰が反り返ってくるため、腰・背中の痛みで辛い思いをされている方も多勢います。

また妊娠3カ月頃から出産をスムーズにするため、主に骨盤の関節を緩めるホルモンが分泌されるようになるため、それまでよりも関節は不安定になってきます。

そしてお腹の赤ちゃんの発育とともに体重も増加し、これが負担となって不安定な骨盤周囲の筋肉は硬くなり、結果的に背中・腰・股関節などの痛みへとつながると考えられています。

(出産すると・・・)

出産が終わりお母さんの体が元の状態に戻るまでの期間、いわゆる産褥期(6~8週間)は、ゆったり静かにすごすのがよいと言われています。

出産のためにいったん緩んだ骨盤は出産後1~2カ月をかけて、徐々に妊娠前の状態に戻ろうとするのですが、必ずしも正しい状態に戻るわけではありません。

骨盤がもともと妊娠前から歪んでいた人、出産によって歪んでしまった人など様々ですが、正しい状態に戻らないままでいるとそれが関節だけではなく内臓などにも影響を及ぼし、後々辛い症状が表れる方も多いようです。

尿漏れ、恥骨痛、生理痛、便秘、肩こり、頭痛、ぎっくり腰、股関節痛などなど・・・

関節の機能や内臓の活動が正常に行われないと体の代謝も悪くなり、結果として太り易くなってしまったり、低体温になって二人目のお子さんが出来にくくなってしまったりと、良くないことが起こり易くなってしまいます。

とは言っても関節が不安定な出産後は、骨盤をはじめとする体の骨格を良い状態に戻すチャンスでもあるのです。

<産前・産後を快適にすごしたい・・・>

このように妊娠~出産~産後にかけて女性の体は、その時々でとても大きく変化しています。

ケアすることで少なくとも精神的・肉体的に不快な状況を避けられるのであれば、そのケアは十分役目を果たしていると私は思います。

●妊娠中:赤ちゃんがお腹の中で快適にすごせるよう
●出 産:できるだけスムーズな出産をするために
●出産後:しばらくは家事・育児に専念できるように

<このような施術を行っています>

産前・産後の生活をできるだけ快適にすごせるよう、当院では次のような施術を行っています。

(産前)

出産前の妊婦さんにとってまず大事なのは、赤ちゃんがお腹の中で快適にすごせるような状態を維持することだと思います。

妊娠するとそれまでとは異なるホルモン分泌が起こりますが、そのホルモンがより正しい分泌を行うためには、しっかりした自律神経の働きが必要となります。

肩こり・腰痛・股関節痛といった辛い症状、もしくは自覚症状はなくとも背骨や骨盤の機能に問題がある場合など、眠りが浅くなったり栄養分の吸収が悪くなったりといった自律神経の働きに起因した良くないことが起こり易くなってきます。

当院では自律神経がより正しく働くよう、”痛み”をはじめとする自覚症状の修復とともに

●動きが悪くスムーズな神経伝達が行われていない関節
●硬くなって血行が悪くなっている筋肉
●忙しさ・責任感の強さ・妊娠の不安などからの情緒不安

これらについて整体・マッサージ・鍼灸の手技による治療を行います。

(産後)

出産も終わりとりあえずはひと安心ですが、それからは徐々に妊娠前の身体に戻りながら赤ちゃんとの毎日をすごしていきます。

私も息子が生れてから育児には多少なりとも関わってきましたが、何から何まで初めて経験することばかりで、息子が生まれる前の生活が激変しました。(圧倒的に楽しい方に激変しました)

私が関わった育児で印象に残っているものは、
●抱っこ
●哺乳びんによる授乳
●お風呂(もく浴)

この三つがなんで印象に残っているかと言うと、とにかく背中と腰が辛かったんです。

そして息子が1歳半の頃、人生初のギックリ腰を経験しました。

このような経験から、産後のお母さんがどれだけ首や背中や腰が辛いかは理解できます。

産後治療の軸としては、次のように考えています。
●いったん緩んだ骨盤や股関節、背骨などがどのような状況になっているかを確認(筋力や骨格や関節の動きについて)
●出来るだけ正しい状態に関節(骨格)を戻す
●育児による疲労・痛みの修復

これらについて産前の治療と同様、整体・マッサージ・鍼灸の手技による施術を行います。

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【産後の不調:患者さんの声】

(20代 女性)

こちらの女性は産後5ヵ月を経過した方で、初めての育児による腰と背中の痛みの訴えがありました。

寝ている赤ちゃんを抱え上げる時やお風呂(もく浴)などの動作の際に背中や腰にズキッとした痛みが走るとのことでした。

起立した時の姿勢をみると首がいわゆるストレートネックで、顔(頭)がやや前方に突き出し、背中は猫背でした。

またベッドに仰向けに寝ると両膝がわずかに折れて、膝の裏がベッドに着かない状態でした。

このような状況に対する治療として、まずは硬くなって動きが少なくなっている股関節と骨盤の調整を行いました。

次に、前傾姿勢が多いことから動きが硬くなっている肩と鎖骨に対して施術を行いました。

そして首および背中から腰にかけて動きが硬くなっている箇所に対して施術を行いました。

治療には鍼・灸・マッサージ・整体の手技を用いました。

施術後、来院時の痛みは完全には無くなっていませんでしたが、猫背と前方に突き出した顔の位置はかなり改善していました。

その後、1回/週の頻度の治療とご自宅でのセルフケアにより、3回ほどの施術で姿勢・痛みについては良い状態になってきました。

施術後の感想として次のようなことを言われています。

<感想>

産後5カ月を経過して育児生活にもなんとなく慣れてきましたが、日頃の姿勢が悪いのか、だんだん背中や腰が辛くなってきて、寝ている赤ちゃんを抱き上げる時など背中のあたりに鋭い痛みを感じるようになってきました。

施術を数回受けて背中や腰の辛さは徐々に楽になってきました。

そして、このような状態に至った理由と今後の生活習慣などについて、いろいろと説明していただきました。

これからも育児による体調不良を起こさぬよう、なるべく定期的に施術を受けていきたいと思います。